
大隈重信、井上馨、伊藤博文
新宿の紀伊国屋で井上馨の評伝見つけて、あらーめずらしー^^と思いました。
井上馨は、成功と名声と華々しい業績に勝るとも劣らない、疑惑と政治的汚濁に彩られた政治家である。
っていう、褒めて落とす?ような評価が、世間一般の井上評だと思う。
時に私利私欲の人のように語られることもあるが、それは違う。
井上馨は言うなれば、スケールのでかすぎる博打打ちだと思う。
それも、他人の褌で相撲を取るタイプの…。
明治初期の日本は、戦争したばかりの癖にインフラストラクチャーへの西洋文明の導入が凄まじく、当然カネ(政府財源)なんか足りる訳が無い。そこを井上は、「無い袖は振れない」などと意気地のないことは決して言わない。
むりやり豪商に憑りついたり、嘘みたいな大博打を何度も張って(たまに騙されかけているが)、諸外国相手に日本の大事な抵当を取られることもなく、うまく切り回すことに成功している。
奇跡かよ?! と思う。
この男が明治初期の日本の経済を一手に引き受けていた事は、実はこの国にとって非常に幸運なことだったのではないか?
井上馨のすごいところは、当時のサムライにあるまじき飛びぬけた金銭感覚とペテン能力にある。その金銭感覚は一円一銭数える精緻なソロバン勘定でなく、大体はどんぶり勘定である。
その上、恩だの義理だの他人に迷惑をかけるだのそんな事はお構いなしに、いつでも好き勝手に行動している。
木戸孝允や伊藤博文が政府や内政のことで非常に忙しく苦労していた時期に、井上は個人的な問題の事で、しつこく2人の手を煩わせていたw
また別の時には、木戸があげた覚えのないものを「自分のものだ」とか言い張って(単に、借りたのをそっくり忘れてしまっているのだろうが)、木戸さんに要らぬ心配をかけて自分はすっとぼけている ww なんてこともあった。
いくら木戸とは旧知の間柄だからといって、厚かましいにもほどがある。
そーいう、自重知らずの無神経と野放図ないい加減さ具合が井上馨のキャラクターに精彩を与え、魅力的な人物として歴史上名を遺していることを、ここに力説しておく。
けど、こういう人物は日本ではあまり英雄視されないんだよね~。
一部、熱烈なファンはいるけども・・・。
