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Les Confessions

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■古書逍遥■



じゃ~ん!これ、何の絵かご存知ですか?

さよう、尾崎紅葉の『金色夜叉』の名シーンです☆ ↑の絵は、明治時代に発刊された同小説の挿絵です。
印刷技術の未熟さ・また時間の経過にともなう紙質・インクの劣化によって、すこし燻ったような色合いになった錦絵は、ナントモ風情がありますよねえ。
これが表紙。


まだあります。↓泉鏡花の『海戦の余波』。同じく、明治期発行


鏡花の小説の装丁はどの本も細部まで技巧を凝らしていて、とっても美しいんですよ~!収集し甲斐があります。錦絵が大好きな私にはたまりませんです(><)この本は、紐で綴じてある。

他にもコレクションは色々ありまして(森鴎外とか島崎藤村とか秋田雨雀とかetc…)
…じつは私、古書収集家なんです。「学生の分際で古書道楽とは小癪な」と言われそうですが; 良いですよ古書道楽!
神保町の古書店街をそぞろ歩き。右手に古本屋、左手に骨董店がずらり眼を愉しませてくれる。西鶴や近松の人情ものを数句噛み締めては、次の店へとフラフラ~
黒光りする大正期の大きな、ふるい、荘厳な和箪笥や、装飾用の大刀・鎧兜に見とれ、あるいは作者不詳の版画、極彩色の錦絵を、ためつすがめつしながら散歩がてら気儘に歩くのは、最高の贅沢・至高の悦び!

前置きが長くなりましたが…読了本!↓


出久根 達郎 / 中央公論社(1990/03)
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出久根 達郎 / 中央公論社(1994/12)
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とっても良い本だった。著者の出久根達郎氏は直木賞作家さんですが、執筆活動にいそしむかたわら古書店を経営なさっているのです。古い本のたどってきた歴史や、知られざる落丁本のゆくえ、ちょっと奇妙な古書好きさんたちの織り成す数々のエピソード…。

古本あさりの楽しみは、ひとつに、『自分だけしか知らない』本を掘りだす快感を味わうことである。誰に教えられたわけでなく、永年の渉猟により得た知識を総動員してピックアップした、『自分だけの』隠れた名著を見つけだす喜び、これぞ古本捜索の醍醐味である。


ふるい本の、ホコリっぽいにおい。なんともいえず良いものですよね。

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あてでっか?あてはどないでもよろしおま。



なにわの不良文士、オダサク。。
ヒロポン中毒でヘビースモーカー。
戦後の文学界を風靡した直後、喀血死を遂げる。

「僕と共鳴せえへんか」
きざったらしい関西弁でカフェーの女中を口説きます。




織田 作之助 / 新潮社(1974/03)
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オダサクの本は電子図書館青空文庫で読むのが殆どだったんですけど。
大好きなのでとうとう短編集『夫婦善哉(めおとぜんざい)』買っちゃったよ…(好きな作家は紙の本を持っていたいのです)

あーこれ以上手持ちの本を増やしたら引越しのときヤバい(^^)
今でもやばいけど。本棚壊れそうなんですけど。

好きすぎる無頼派。好きすぎるオダサク。好きすぎるデカダン文学!
無頼派らしくデカダンス(頽廃的)ではあるものの
オダサクの書く小説には、なにわの義理と人情の気分が脈々と流れているので、太宰治の小説と違ってほのぼのして救いがあります。

そして昭和レトロな大阪の下町。道頓堀に二ツ井戸、極彩色の行灯の光に照らされた夜店が軒を連ねる。粘土細工、積み木細工、メンコ、花火、びいどろのおはじき、フグの提灯、…数々のおもちゃ屋、と見れば、豆板屋、こんぺいとう、密垂らしの祇園だんご、氷金時、尻尾まであんの入った鯛焼き…その食の豊かさも大阪ならでは。


なんだか最近、活字中毒が亢進してるみたいです。日がな読書三昧だ(幸せ)

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昭和の書生が大好きじゃ。





↑ドイツ語で「憧れを知るもののみ、わが悩みを知らめ。」
(かつての旧制高校生がやたらと好んだ語句)



北 杜夫 / 新潮社
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若さのもつエネルギーというものは、もともと無色無方向なことを特色とする。……
ヴァレリーの言葉。
「彼がなした馬鹿げたこと、彼がなさなかった馬鹿げたことが、人間の後悔を半分ずつ引き受ける」
ゲーテの言葉。
「われわれは生れつき、美徳に転じえないような欠点は持っていないし、美徳も持っていない」
…若者よ、年寄りを侮蔑してもよい。しかし、必然的に自分もまた年寄りとなり、近ごろの若い者は、などと言いだす存在であることも忘れるな。若者よ、自信をもち、そして同時に絶望せよ。



ひさびさ、懐古主義に火がついたかんじ。

弊服破帽に高下駄、汚らしい手ぬぐい、難解な哲学書、とりとめのない議論、デカンショ、鉄拳制裁、酒とタバコ、……

いいねえ 書生!

「ヨーイ、ヨーイ、デッカンショ!」の罵声、寮歌をがなり立て、深夜まで飽く事なき議論に時間をついやす…

デカンショ(デカルト、カント、ショーペンハウエル)に毒された哲学書かぶれの旧制高校生たち。
ひとかどの人士ぶって議論をぶつ。厭世気分から自殺が流行る。
「おれはどうも最近、神経衰弱らしい。」…神経衰弱が一種の流行語に。

旧制高校生といえば世間では「エリート」で通るので
料理屋とかでは優遇される(笑)下宿探しも優待される。

 硬派学生!「われわれはすべからく少年を愛さねばならない」……寮ではホモ横行! というのは表向きで、実は、仲間に秘密でガールフレンドがいたりする。
(バレると「軟弱者!」と言われ、鉄拳制裁が待っているので、休日にこっそりデートする。)

そんな時代が確かにあったんだ。昭和の初期まで、こんな青い春があったのね。

「ああ、青春(せいしゅーん)!」


…ところで、この『どくとるマンボウ』シリーズの著者、北杜夫氏(詩人・斎藤茂吉の息子)の、青春時代のバイブルが私の趣味と酷似していて、驚きました。
トーマス・マンの作品からの引用が頻々と挙げられていたりします・・ドキ☆ あと、芥川龍之介や太宰治、萩原朔太郎などなど・

「トマトソース」という字面を見るだけで「トーマス・マン」と勘違いするほどマンかぶれな作者氏の青春時代は、やっぱり哲学めかしくて青くさい、読んでて照れてしまうようなあたたかみのある、チャーミングな小説でした。



秦 郁彦 / 文藝春秋
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旧制高等学校の複雑多岐にわたる学習体系を書いた本。

じつは、わたくしの祖父は、いわゆるナンバースクールのひとつ、第六高等学校(今の岡山大学医学部)の生徒でした。

(つまり旧制高等学校生だったんですね。…祖父にまでハァハァしそうな不孝者な孫ですいません。)

そして何を隠そうこの私自身も、かつての第六高等学校の名残ともいえる、公立A高校の出身です。その校風は古くからの伝統を重んじるいっぽうで非常におおらかであり、かつ、「エリート」(だった)高校としての威厳も備えており、じつに愛すべき高校です。

ナンバースクールの蛮カラな昭和の空気を二次的に体験できたのは
まったくの幸運でした。かの高校に進学して本当によかった。…貴重な体験です。

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長州ファイブ…(脳内壊滅してます)

長州ファイブの

感想をどのように書くべきか と色々悩んでいたのだけど結局まとまらず

せっかくここはイラストBLOGなので(いまさらのように、思い至った・・)

絵で映画を回想してみようと思いました。

史実のお好きな方はぜったいに見ないほうがいいです

なにしろ私 ひじょうな興奮状態にあり 
この映画をひとつの作品として冷静に見る事ができませんので

あ~あ…知りませんよ; もう 私もどうしていいか解らないの。自己責任でおねがいします







~回想その1~ IN 土蔵相模




■高杉晋作!
わあああもう何この高杉
二重羽織のマントなんか着ちゃってピストルなんて振り回しちゃってさ
か っこい

ちょっとあれ 私、自分で描いておきながら異様な既視感があるなーと
思ったら!!バカボンとかおそ松くんに登場して「死刑ーーッ!!」て叫びながらピストル乱射しまくるおまわりさんに似てるんだヨ!

それはさて置き
あのマントとピストルは上海視察のときに買ったものですよねーきっとv
高杉は身の回りの持ち物にこだわるよねーオシャレ好きさん!

■久坂玄瑞きた…!
久坂だ久坂~♪…え、久坂?久坂…だよね?(…)

どうしよう双璧(高杉・久坂)が並んで立ってるだけで幸せなんですが、私…並んで走っていても並んで座っていても並んでヒゲダンスしていても、 幸せなんですが 私 …病気病気病気
すみっこで静かに一人ナベつつきまわしてる久坂 
ウワアア うわ ウワワ ワ ウ 萌える
黙々と食べ続けるよ久坂 まわりが騒がしくても行儀よく食べ続けるよ久坂

…食べるなぁ……これも史実に則してるつもりなんでしょうか?
※史実久坂さんはとっても食いしんぼうでした

そしてこの酒宴のあと品川の英国大使館に放火しに行くんですよね!

犯罪者らめ☆

非行少年グループチックだったころの高杉たちって血気さかんで可愛いv
というか、とっても楽しそう(若いって いいね )なので仲間に入りたい。
(犯罪だめゼッタイ)


~回想その2~ IN 英国





正直、吹いた

これはナンの映画ですか?映画タイトル『長州ファイブ』じゃなく

ふんどしファイブにしてください。


いいもの  見た… 

尻(×5) ヤマジュンもびっくりの ウホッ いい男たち
驚異のふんどし率 ロンドンで ふんどし 何処でも ふんどし

DOSHI-FUN


すごすぎ!!
さすがは『長州五傑』…長州5ケツ(あっ すいません、すんません 石投げないで)

いやー素晴らしいです。150年前だというのに、こんなにもクールビズ☆
環境への配慮も考えつつ、時代を先取りしてますね♪未来の大日本帝国のオーガナイザーたちは常人の想像も及ばない程の、先見の明を備えているのです♪
けど、当時のイギリス人にはちょっと刺激が強すぎたかもしれませんネ(^。^)b



本当にありがとうございました。




~回想その3~ IN ロンドン大学(化学実験室)



ふんどしを辞めた(?)5人は瀟洒な洋服に身を包み、ロンドン大学でお勉強を始めました。同大学にて化学を専攻している教授博士宅に書生として住み込み。
ドライアイスを水に入れたとき煙が出る(ごく簡単な実験)だけで驚き喜ぶ5人がとっても無邪気でかわゆいお…(><)

そしてイギリス滞在の間、日本の改革に必要な語学・科学・数学・鉄道・造船……ありとあらゆる学問を吸収していくのです。

私と年齢差ほとんどないような青二才(といったら失礼ですが;)の青年たちが
命からがら故郷を抜け出し、まったく異国の地で、右も左も言語さえも解らない状態で
一から勉強を始めるというんですからスゴイですよね~;尊敬します。

そして、長州ファイブのその後は…

当時21歳だった伊藤博文は、後年、内閣総理大臣に

27歳の井上馨(聞多)は 外務大臣や大蔵大臣など要職を歴任

26歳山尾庸三は 東大工学部の前身・工部大学校の設立に尽力し

27歳遠藤謹助は 大阪造幣局長に。

最年少20歳だった野村弥吉は 日本に鉄道を通したのでした。




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東郷神社(海軍)の次は乃木神社(陸軍)へいってきた。

港区の乃木神社へ行ってきた。




乃木神社に祭祀されている乃木希典(陸軍大将)は日露戦争において堅牢な旅順要塞の攻略にあたった第三軍(乃木軍)の指令総督で、日本では「軍神」として崇敬されてます。
乃木さんは二人の息子を同時に戦争で失い、なおかつ乃木さん自身も
明治帝崩御のさい後を追って自宅で殉死しています。その人生はドラマチックな悲壮と精神美にあふれ、明治最後の武士道をつらぬいた武人といえるでしょう。さらに乃木さんは優れた詩人で、後世までのこるすばらしい漢詩をいくつも残しています。
そういうとこが大衆の人気を得るのに一役買ったといえるでしょう。

私の祖母は乃木さんの大ファンで、よく「にっぽんの~乃木さんが~凱旋す~♪」という日露戦下の軍歌を歌い聞かせてくれました。世代を感じますねぇ。

そーいう色々のことをふまえて、読みおわたので感想↓

司馬 遼太郎 / 文藝春秋
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筆者はいわゆる乃木ファンではない。

と断言する司馬遼太郎の、まさかまさかの乃木さんぶった斬り本!
ファンこそ読みたいアンチ乃木本。

乃木は独逸留学以来、軍事技術よりもむしろ自分をもって軍人美の彫塑をつくりあげるべく、文字どおりわが骨をきざむがような求道の生活をつづけ…(略)…その求道性もかれ一個のストイシズムのなかに閉鎖されすぎており…(略)…かれはもともと自分の精神の演者であった。


ここで注意したいのは、司馬先生が「精神」という言葉を口にするときしばしば「揶揄」の意で用いられることがあるということです。
上記引用文にいう「精神の演者」とはようするに、「乃木希典は軍人美を追求して精神論ばかり振り回すだけで軍事的能力に関して言えば三流だ」という意味です。つまり能無しです。

(何がどう能無しなのかは、本書か もしくは『坂の上の雲』を読むことをお勧めします)

ただ乃木さんを「精神の演者」たらしめたものが一体何であったか、というのがこの小説の眼目といえる。
で、個人的に注目したのは山鹿学的陽明学だった。
陽明学は、「動機の至純さを尊び、結果の成否を問題にしない…最後には身をほろぼすことによって仁と義をなし、おのれの美をなす」ことをその思想としているわけですから、もともと軍人には不向きな詩人気質の乃木さんには何か感じるところがあったんでしょう。
しかし一軍の将たる者が「結果の成否を問題にせず」いたずらに兵を敵地へ送り込み、結果として6万という膨大な数の日本兵の死体が二○三高地にうず高く積み上げられることになったのを思えば、乃木軍司令部の軍事能力の責任を問わずにはいられないでしょう。
旅順に散った無念の霊魂たちのために司馬氏は、憤りをこめて乃木軍司令部の無能を糾弾しているのです。

余談ですけど、陽明学・・・。
幕末の維新志士には陽明学の徒はたくさんいましたよ。吉田松陰先生だってそうじゃないですか。
村塾の子らも陽明学を師からしっかり学んでますよーだって塾で使ってた講義テキストに『大学』(という陽明学の書)があったもの。
他には…頼山陽は陽明学派の巨魁。息子の頼三樹三郎は安政の大獄で刑死してますね。
西郷隆盛も気質は陽明学派ですよね。
陽明学は「結果がどうなろうがかまわない!自分の信じた正義を行う!」ことを主眼としているので
攘夷志士はこのために暴走しやすいよね。


ちなみに私は、乃木さんは、好きですよ。
彼は純粋すぎるので、責任を追及しようという気になれないのよね;;不思議と。
だけど参謀の伊地知幸介はちょっと…彼こそまさに無能なのでは…


余談の余談で、ブンガク語り。
乃木希典の殉死事件は明治文士に少なからず影響を与えました。

夏目漱石の『こころ』…苦悩に満ちた日々を送り、過去の一切の始末をつけるために自殺する「先生」は、乃木希典を下敷きにしているよね。あと短編だけど『趣味の遺伝』にも乃木さんが出てきた(ように記憶します)。

森鴎外は、それまで書いてた現代小説から、『殉死』をテーマとする時代小説に転向するしね。

内田百閒の『旅順入場式』や、芥川龍之介の『将軍』も乃木さんのこと書いてるよね。明治~大正文士の小説には乃木さんがよく登場するよ…。
夏目 漱石 / 新潮社
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夏目 漱石 / 岩波書店
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内田 百閒 / 岩波書店
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このへん、乃木さんファンなら読んでおきたい小説

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トリコ
性別:
女性
自己紹介:
漫画・歴史・文学に無駄な情熱を浪費する可哀そうな腐女子。
趣味は文系、専攻は理系。文理両道目指してます。
近代史妄想が激しい。史実と虚実の混同注意報発令中。

:好きな政治(思想)家:
吉田松陰、大久保利通、木戸孝允、山田顕義、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、伊東巳代治、勝海舟、福澤諭吉、浜口雄幸

:好きな文士:
トーマス・マン、ドストエフスキー、ボードレール、アナトール・フランス、夏目漱石、正岡子規、森鴎外、泉鏡花、徳富蘆花、芥川龍之介、三島由紀夫、寺田寅彦、中勘助、太宰治、織田作之助、司馬遼太郎、滝沢馬琴

:人生の聖典:
留魂録、葉隠、歌よみに与ふる書、醒めた炎、竜馬がゆく、魔の山、銀の匙、唯脳論、深夜特急、寺田寅彦随筆集

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