

↑ドイツ語で「憧れを知るもののみ、わが悩みを知らめ。」
(かつての旧制高校生がやたらと好んだ語句)
北 杜夫 / 新潮社
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若さのもつエネルギーというものは、もともと無色無方向なことを特色とする。……
ヴァレリーの言葉。
「彼がなした馬鹿げたこと、彼がなさなかった馬鹿げたことが、人間の後悔を半分ずつ引き受ける」
ゲーテの言葉。
「われわれは生れつき、美徳に転じえないような欠点は持っていないし、美徳も持っていない」
…若者よ、年寄りを侮蔑してもよい。しかし、必然的に自分もまた年寄りとなり、近ごろの若い者は、などと言いだす存在であることも忘れるな。若者よ、自信をもち、そして同時に絶望せよ。
ひさびさ、懐古主義に火がついたかんじ。
弊服破帽に高下駄、汚らしい手ぬぐい、難解な哲学書、とりとめのない議論、デカンショ、鉄拳制裁、酒とタバコ、……
いいねえ 書生!
「ヨーイ、ヨーイ、デッカンショ!」の罵声、寮歌をがなり立て、深夜まで飽く事なき議論に時間をついやす…
デカンショ(デカルト、カント、ショーペンハウエル)に毒された哲学書かぶれの旧制高校生たち。
ひとかどの人士ぶって議論をぶつ。厭世気分から自殺が流行る。
「おれはどうも最近、神経衰弱らしい。」…神経衰弱が一種の流行語に。
旧制高校生といえば世間では「エリート」で通るので
料理屋とかでは優遇される(笑)下宿探しも優待される。
硬派学生!「われわれはすべからく少年を愛さねばならない」……寮ではホモ横行! というのは表向きで、実は、仲間に秘密でガールフレンドがいたりする。
(バレると「軟弱者!」と言われ、鉄拳制裁が待っているので、休日にこっそりデートする。)
そんな時代が確かにあったんだ。昭和の初期まで、こんな青い春があったのね。
「ああ、青春(せいしゅーん)!」…ところで、この『どくとるマンボウ』シリーズの著者、北杜夫氏(詩人・斎藤茂吉の息子)の、青春時代のバイブルが私の趣味と酷似していて、驚きました。
トーマス・マンの作品からの引用が頻々と挙げられていたりします・・ドキ☆ あと、芥川龍之介や太宰治、萩原朔太郎などなど・
「トマトソース」という字面を見るだけで「トーマス・マン」と勘違いするほど
マンかぶれな作者氏の青春時代は、やっぱり哲学めかしくて青くさい、読んでて照れてしまうようなあたたかみのある、チャーミングな小説でした。
秦 郁彦 / 文藝春秋
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旧制高等学校の複雑多岐にわたる学習体系を書いた本。
じつは、わたくしの祖父は、いわゆるナンバースクールのひとつ、
第六高等学校(今の岡山大学医学部)の生徒でした。
(つまり旧制高等学校生だったんですね。…祖父にまでハァハァしそうな不孝者な孫ですいません。)
そして何を隠そうこの私自身も、かつての第六高等学校の名残ともいえる、公立A高校の出身です。その校風は古くからの伝統を重んじるいっぽうで非常におおらかであり、かつ、「エリート」(だった)高校としての威厳も備えており、じつに愛すべき高校です。
ナンバースクールの蛮カラな昭和の空気を二次的に体験できたのは
まったくの幸運でした。かの高校に進学して本当によかった。…貴重な体験です。

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