NHK:始動まで4年!大作「坂の上の雲」
NHKが03年1月にドラマ制作を発表していた司馬遼太郎さん原作の「坂の上の雲」の主なキャストが18日、発表された。主人公の海軍軍人・秋山真之に本木雅弘(41)、兄の陸軍軍人・秋山好古に阿部寛(42)、正岡子規に香川照之(41)、その妹・律は菅野美穂(29)が演じる。今年秋にクランクイン。撮影に約3年、全13回を09年秋、10年秋、11年秋の3年に渡り放送する大作となる。脚本家の野沢尚さんの自殺、海老沢勝二前会長の退任などがあり始動まで4年かかった。
スポーツニッポン 2007年1月19日
というわけで『坂の上の雲』映像化が次第に見えてきたぞ。ドキドキ。
4年前、『坂上』映像化の権利をとうとうNHKが勝ち取った事を知った時は、
文字通りブッ飛んで驚いたねえ。
事情を知らぬ人には想像もつくまい。
この歴史的大著の映像化に(ここ30年の間)、如何なる困難と挫折が生じたことか。
…そもそも司馬遼太郎の小説は、今まで何度も映像化されていますが(大河とか何度も…)坂上だけは 司馬先生ご自身が 映像化することをかたくなに拒んだのである。
NHKも東宝もどこからのオファーもいっさいニベもなく拒否したのです。
いわく、
「安易に映像化して軍国主義を鼓吹しているふうに勘違いされては困るのだ云々」
…ごめんなさいウロ覚え。だけどこういうことをいつだったか言ってたんだよ
司馬先生が他界され、『坂上』著作権は奥さんのみどりさんが継承した。
NHKは粘りに粘って(…まさに30年間のねばり)、みどりさんから映像化の承諾を得たのです。
NHKの執念にバンザイ三唱!
われらが日本の近現代史は、司馬史観なしに語れません。
という、不思議な法則が現在何の抵抗もなくすべての日本人に受け入れられている。
私はそのきっかけになったのが、本書『坂の上の雲』だと思うのです。
この小説の凄さは…(ぜひ、みなさん自身が読んで体感してくださると嬉しいのですが…)明治時代という、ありし日の日本の姿を
自由思想と希望に満ち、ひたむきな上昇思考のみで回転していた日本という国家の姿を、日露戦争を軸にして
あたたかい愛情と、 深い理解と、 ときには峻烈な批判眼で、 描き出している。
その物語の書き出しは、こうだ。
“まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。”
明治維新によって開化のうぶごえをあげた“まことに小さな国”、日本。
その国に住む人々は、新時代の微風を受け、誰もが、自由と輝かしい未来に胸を膨らませた。当世流行の帝国主義や、華やかなナショナリズムにぴったりと寄り添って、陽気で煩雑な変化をもてはやした。
そんな生き生きとして軽佻浮薄な時代の水面下を、必死にもがいた「明治人」たち。
司馬先生は、彼らの生きざまを、「いささかのシニズムもなく」(BY三島由紀夫)平易な文体で見事にあらわした。
この小説の主人公たちも、そんな明治人の一人一人なのだ。
秋山真之、秋山好古、正岡子規
さてさて NHKドラマではいったい どんな明治人になるのやら?
視聴の日をたのしみ待つばかりです。
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