鴨下 信一 / 文藝春秋
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これは興味深かったので感想を書いておこう。
徳富蘆花の破天荒の自己暴露、赤裸々な性描写を妻に気づかれぬようローマ字で綴った石川啄木、落ち目になってから世間への愚痴ばかり書いた古川ロッパなど、日記のさわりを覗いて愉しもうという趣向です。(以下略)本書の内容紹介を引用。
近代史を中心として、先人たちのおもしろ愉快な日記をいろいろと紹介しています。この本を買う決定的な動機となったは、
光クラブ事件首謀者、山崎晃嗣(あきつぐ)の日記がリストアップされていたため。日記引用部分は微微たるものでしたが、折角ですからご紹介しましょう。
彼の日記は摩訶不思議で、まずタテに時間軸が取ってあり、深夜0時からはじまって24時におわる。時間軸は目盛りにしたがって、就寝・読書・勉学・食事・入浴といった「行動」が項目ごとに記してあり、
1時20分就寝準備(10分)、空想・妄想(40分)、2時00分睡眠(210分)…といったふうに、カッコ内には所要時間までキッチリ記してある。しかも分単位で。(どんだけ几帳面なのさ…)
さらに注目すべきは、
○◎△①②③の記号が使われていることで、それらは有益時間、無益時間、中立時間を示すマーク。
6段階のランクにわかれる有益時間はどんなものかというと、たとえば「
有益な人生論的会話」や「
手紙を書くこと」が彼にとって有益時間にあてられるらしい。(なんだよその人生論的会話って?笑)
無益時間は、「
雑念、妄想、不要会話、通読下等読書…」などなど!きっと山崎晃嗣からみた私の生活は、ほとんど「無益時間」だ…私のばあい妄想と通読下等読書が多いから(笑)
そしてこれらマークのあとに「
片付、用務、料理食事、風呂屋、体操、智子(恋人)と性交、たはむれ…(○○分)」と記入されているようです。
うーん。やっぱりおもしろい。小説(青の時代)よりこっちのが面白い…事実は小説よりも奇なり、ですね。三島さんは下調べが足りなかったよねー(と、ご自身で言われていた気がする)。
他にも私の好きな歴史人物や小説家の日記が多いのですが、とりわけ喜んで読んだのは、
正岡子規、石川啄木、徳富蘆花、木戸幸一、重光葵…このあたりかな。やっぱ近代史が中心で…
木戸幸一と
重光葵(しげみつまもる)は、A級戦犯ですが、
巣鴨プリズンに入獄中(
極東裁判の行われていた期間)につけていた2人の日記を対蹠的に読み解いたもので、獄中二人の意識(同じ事件に対する両人の考え方…)の同調や相違が、とてもとても興味深いです。これのためにこの本買ってよかったーと思いました。そしてやっぱり、木戸さん(孝允!祖父!)と幸一は、似てるとこあるよね…
ていうか、日記のつけ方がまず似てるよね…と深いあじわいがあったりして(笑)はああ、早く孝允日記買いたいなぁ♪月末が楽しみ。
正岡子規の日記↓『仰臥漫録』
正岡 子規 / 岩波書店
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日本人としてこれを読まずに死ねようか?
内容は、ま~
食い物のことばかり書いているわけですが、病床で日々苦痛と闘う子規の、必死に生命にすがるかのような旺盛きわまる食欲は痛快ともいえる。そして時折みせるもっとも人間らしく、凡俗で、脆弱な不安や弱音を吐露する瞬間が(子規にはわるいケド)この日記をいっそう芸術的高みへ押し上げている、と考えます。
ぜひぜひ多くの人に読まれるべきだと思う。
いちおう紹介しておきますが~石川啄木の『ローマ字日記』…
石川 啄木, 桑原 武夫 / 岩波書店
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これは私、高校時代に散見したきりなんですけど(汗)うーんなんと説明してよいか…とりあえず、わりと最近まで発禁本でした(汗)女の人との性交渉をローマ字で(略)気になりますか?スケベを自覚する人は、読むべしです。4月10日の非常に長い日記を。

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