私の好きな征夷大将軍
右大臣実朝こと
源実朝鎌倉幕府の開祖・源頼朝の次男にして非業の死を遂げた歌人
武骨をこのむ幕府(武者集団)にありながら朝廷に近くみやびを愛する
彼の暗殺によって承久の乱がおこり幕府と朝廷の一大決戦となったのは御周知の通りです。
出ていなば
主なき宿となりぬとも
軒端の梅よ春を忘るな大意は
「出かけてもはや主人の戻らない宿になろうとも、軒下の梅よ、春を忘れずに咲いておくれ」
暗殺の日の朝、出かけるときに実朝が庭の梅の木を見て詠んだという。
梅の花咲く初春と陽気な長閑さの中に
みずからの死を予言するという一種の不安と闇の伺い見える和歌ですね。
太宰 治 / 近代文庫(1955/00)
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なんだろ…太宰治が書くとなんでも悲壮感が50%増すわ。。。
悲劇のヒロイン(notヒーロー) きゅん
執権・北条氏との確執がまた きゅん
後鳥羽上皇と仲良しさんなのがいいよね(←なんでそう表層ばかり見たがるかな)
(腐女子ですから。)
そーいえば、正岡子規ことノボさんが『歌よみに与ふる書』という俳句界の革新的書物を著したとき、源実朝についてこんなことを言っていた↓
實朝といふ人は三十にも足らで、いざこれからといふ処にてあへなき最期を遂げられ誠に残念致し候。あの人をして今十年も活かして置いたならどんなに名歌を沢山残したかも知れ不申候。とにかくに第一流の歌人と存候。…(中略)…實朝の歌はただ器用といふのではなく、力量あり見識あり威勢あり、時流に染まず世間に媚びざる処、例の物数奇連中や死に歌よみの公卿たちととても同日には論じがたく、人間として立派な見識のある人間ならでは、實朝の歌の如き力ある歌は詠みいでられまじく候。
要するに、
源実朝はすばらしい歌人だったのに若くして暗殺されたのが惜しまれてならない。その当時有名だった歌人などと違って、流行に流されず世間に媚びることもない。これほどまでに人間として立派な歌を詠めるのは、源実朝だけであろう。
と言っているんですけどね、
紀貫之、藤原定家、賀茂真淵…
歌の世界で定評のある人物を、ことごとく
通俗に堕すとか
現実にありえないことを歌に詠んでいるとか言って批判してぶった斬ったノボさん、これほど批評眼のキビしい人がベタ誉めする源実朝は、歌人として傑出した才能をもっていたということなんでしょう。
正岡 子規 / 岩波書店(1983/01)
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これ、我が人生のバイブルです。

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