
すごい胡散臭いテンプル騎士団。
ウンベルト エーコ, Umberto Eco, 藤村 昌昭 / 文藝春秋(1999/06)
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ウンベルト エーコ, Umberto Eco, 藤村 昌昭 / 文藝春秋(1999/06)
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創作、常軌を逸した創作、関連性など気にせず、まとめることなどもはや不可能なような創作。象徴(シンボル)のなかを駆け巡るリレー・ゲーム、絶え間なく次から次へと別のことを伝える伝達ゲーム。終りのないアナグラムの連鎖のサラバンドに身を委ね、世界を解体する。それから、結局は〈表現不可能〉だということを信じればよい。これがトーラーの本当の読み方ではないのか?真実は一つのアナグラムのアナグラムなのだ。アナグラムというのは、偉大なる術、アルス・マグナのアナグラムなのだ。
えっとまずひとつ言えるのは
複雑怪奇 …とにかく複雑怪奇。この一言に尽きる。
『ダヴィンチ・コード』…ちょっと前 話題になったので読んだ方もいらっしゃるかと思うんですが、この小説は、『ダヴィンチ・コード』のオカルト度を
100倍濃縮してさらに
1千倍、複雑怪奇に輪をかけた 小説 なんです よ。
テンプル騎士団、不可視の三十六人、薔薇十字、フリーメイスン、サン・マルタン・デ・シャン、クンダリニー蛇、地電流、シナーキー、地下王国アガルタ、ヘルメス、ラピス・エクシリス、カバラ、パウロ派、ベーコン派、イエズス会、サン・ジェルマン伯爵、カリオストロ、オリエント、プロトコール、デミウルゴス、南海のジム・ヨタ・ヴァレンティン、ラチコフスキー、ジャック・ド・モレー、セフィロトの木、TRES、聖刻文字(ヒエログリフ)、カタリ派、ニュー・アトランティス、プロヴァンのメッセージ etc etc!!! ぜー ぜー西洋陰謀通史といえばよろしいのかしら。ギリシャ哲学からエジプト数秘術、南米に飛んで混交密教まで すべての形而上学的なモノごった混ぜの超★胡散臭い小説なんです。妄想オカルト歴史本。壮大
(すぎてもはや理解不能)な歴史的隠喩。メタファー。
シャレにならない…シャレにならない…・
読了までに2ヶ月かかりましたよ。こんなに長期間わたしを苦しめた小説は久しぶり。
ウンベルト・エーコ(作者)はいったいどういう読者層のためにこの本を書いたの?専門的すぎる!前作
『薔薇の名前』ほど世間的にウケがよくない理由がわかりました。
しかし驚くべき知識量…さすがは世界的に著名な記号論学者。小説というより哲学というか、暗号を読んでる気分でした。
ちなみにエーコ氏はイタリア・ボローニャ大学の記号論の教授です。
この小説は構成がなかなか洒落てまして、10章から成っているのですが、
セフィロトの木の10個の結節点=セフィラーの名前
(…ケテル、ホフマー、ビナー、ヘセド、ゲブラー、ティフェレト、ネツァー、ホド、イェソド、マルクート)が順に付けられています。
そして面白いのは時間軸の推移で、ストーリーはいきなりクライマックスから始まる。次いで過去
(40年代ファシストとパルチザンの戦うイタリア)へと遡り、それからまた現代(80年代)に戻ってくる、まさにバック・トゥ・ザ・フューチャー。時間と場所を転々。
何から何までややこしい小説です。こういうの好きな方、或いは難解なものに挑戦してみる気のある方は、読んでみるといい。

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